呼吸器内科医師紹介
呼吸器内科とは
呼吸器内科では、感染症(肺炎や結核など)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、間質性肺疾患、肺がん、睡眠時無呼吸症候群などの呼吸器疾患に対応しております。 呼吸は私たちの生命活動に不可欠な機能であり、酸素供給、二酸化炭素の排出、pHの調整、免疫機能のサポートなど、多岐にわたる重要な役割を果たしています。
呼吸器内科医は、これらの重要な機能の維持と異常な状態の治療に専門知識をもって取り組んでいます。
呼吸器疾患
肺炎
肺炎には、
- 細菌、ウイルス、カビ等の多様な微生物がひきおこす感染性肺炎
- 食物等の誤嚥による誤嚥性肺炎
- アレルギー性の肺炎
- 膠原病等の合併症として現れる間質性肺炎
など種々の肺炎がありますが、一般的に多く見受けられる肺炎は細菌による感染性の肺炎です。
細菌性肺炎は健康に日常生活を送っている方でも発症する可能性があり急激に進行する場合もあります。
発熱、咳、呼吸困難感等の症状が続く場合は肺炎の可能性も考慮するべきです。
誤嚥性肺炎について
誤嚥性肺炎は高齢化により近年増加傾向をみています。
年齢を重ねると嚥下能が低下し食事の時にムセることが多くなります。
このムセ症状が多くなると誤嚥性肺炎に注意が必要です。
また嚥下能がさらに低下してくるとムセることもなくなり、常に口腔内の唾液や口腔内細菌を気管内に吸い込んでしまう状態になり肺炎をきたしてしまうことになります。
したがって口腔内を清潔に保つことが大事になります。特に食後や飲酒後にうたた寝をしてしまう時などに口腔内細菌を誤嚥することが多くなりますので食後の歯磨きが大事になります。
治療について
中等度以上の肺炎や誤嚥性肺炎では入院にての加療が必要となります。
当院に於いても近隣クリニックの先生方や施設より多くの肺炎患者さんの入院加療の依頼をいただいており、適切な治療に努めています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
毎日きちんと睡眠を取っているはずなのに、なぜか日中眠かったり、気がつくと眠ってしまっていたことはないでしょうか?
一生の内のほとんどの時間を占める睡眠。睡眠障害は、健康に大きな影響を及ぼします。 その障害のひとつが、睡眠時無呼吸症候群です。
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群とは睡眠時に10秒以上の呼吸停止が反復しておこる状態で、睡眠1時間あたり5回以上認めれば睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
睡眠時無呼吸症候群の症状
症状としてはいびきはもちろん日中の眠気、夜間頻尿等が認められ、特に日中の眠気は会議中の眠気、運転中の眠気を引き起こし社会生産性に重大な影響をおよぼします(呼吸停止時のたびに脳が覚醒し睡眠時間は取っていても実はよく眠っていないのです)。
近年では睡眠時無呼吸による居眠り運転で重大な事故を引き起こした事例が相次ぎ、多くの企業検診においても睡眠時無呼吸の検査が導入されています。
合併症について
また合併症として難治性の高血圧、糖尿病が認められ、心筋梗塞や脳梗塞、脳出血をきたすことも知られています。さらにエネルギー代謝やホルモン分泌に影響し肥満傾向となることも知られています。
1時間あたりの無呼吸が20回以上に達するような中等症~重症になると寿命が短くなり、7~8年後には20%~30%の人が死亡すると報告されています。その死亡原因の多くは、心筋梗塞や脳梗塞です。
検査について
当院では、まず家庭で検査可能な簡易検査を施行し睡眠時無呼吸の有無と重症度の判定を行います。
その後、睡眠時無呼吸症候群と診断された場合には夜間一泊入院していただき睡眠脳波、心電図、筋電図を含めたPlolysomnography(PSG)と呼ばれる総合的な検査を行い、睡眠効率や無呼吸の原因を含めた総合的な精査を行っています。
治療について
睡眠時無呼吸症候群の治療としては、CPAPと呼ばれるマスク式の陽圧換気補助器を睡眠時に装着していただくCPAP治療を行っています。CPAP治療は患者さん個々の重症度や睡眠の質に対応した加療を行っています。
重度のいびきや睡眠時の無呼吸を指摘されている方はもちろん、眠っても熟睡感が得られない方、日中の眠気、運転時の眠気を自覚している方は一度、睡眠時無呼吸の検査(まずはスクリーニング検査として自宅で可能な簡易検査)をおすすめします。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
慢性閉塞性肺疾患とは喫煙や有害な環境によって肺の機能が低下する慢性的な疾患です。
COPDは進行性の疾患であり、長期にわたって症状が悪化していく場合があります。 気道の炎症や肺組織の崩壊が進んでいくため、治療と予防することが大切です。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状
- 気道が狭くなり呼吸が困難になる
- 息切れしやすくなる
- 慢性的に咳や痰がでる
慢性閉塞性肺疾患になると、上記のような症状により、日常生活での活動能力が制限されることがあります。
合併症のリスク
- 呼吸不全
- 気胸
- 心不全
- 肺がん など
検査
- 肺機能検査
- 胸部X線検査
- CT
- 喀痰検査
治療について
専門医による禁煙外来にて生活指導を行い、薬物療法で禁煙をサポートいたします。
禁煙治療
まずは専門医による問診から始まり、その中でニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)を実施します。 2006年の診療報酬改定によって禁煙治療に対する保険給付は外来患者さんを対象とします。
禁煙治療プログラムを受けるための条件をクリアすれば、ニコチンパッチも保険で処方されます。
禁煙は確実で短期的に、がんを始めとした様々な生活習慣病を減らすことができる方法です。(WHOの「たばこ規制枠組条約(FCTC)」において)
たばこへの依存の適した治療を推進し効果的な措置をとることが求められるようになり、2006年6月より、ニコチン依存症の治療に対し、本格的に保険適用が認められました。
この条例のもと、たばこ価格・税の引き上げや喫煙場所の制限などの規制体制が推進され、また現在は様々な生活習慣病も問題になっていることから、これから禁煙する人がさらに増加するのではないでしょうか。
禁煙外来について
内藤病院も禁煙外来を行っております。禁煙治療をご希望の方は内藤病院までお問い合わせください。
がん治療、循環器、呼吸器、それぞれの専門の医師が禁煙のお手伝いをいたします。
喘息
喘息は、慢性的な気道の炎症によって引き起こされる呼吸器疾患であり、気管支が収縮し、過剰な粘液が分泌されることで呼吸が困難になる病態です。
花粉、ダニ、ペットの毛などアレルギー、感染症、煙、空気汚染などが原因で喘息が出やすくなります。
喘息を疑う症状
- 咳や息切れが頻繁に起こる
- 夜間や早朝に呼吸困難がある
- 症状が重くなっている
- 発作が持続している
- 症状によって活動が制限されている
喘息重症患者さんの治療
一般的な喘息治療は、吸入ステロイド、気管支拡張薬、抗ヒスタミン薬などの薬物を使用しますが、生物学的製剤の治療法があります。
生物学的製剤は、喘息の治療に使用される新しいタイプの薬物で、特定の免疫調節因子に作用することで、喘息の症状を緩和する効果があります。
肺がん
肺は、体の中で酸素を取り入れたり、二酸化炭素を外に出す大切な働きをしています。
左右の胸に1つずつあり、それぞれが肺葉と呼ばれる部分に分かれています。
肺は空気が通る気管から入り、肺門と呼ばれる部分で肺に入っていきます。 肺は胸壁で囲まれた胸腔という空間にあり、薄い膜で覆われています。左右の肺の、縦隔と呼ばれる部分には気管や食道、心臓があります。
肺がんは、気管支や肺胞の細胞ががん化する病気です。 進行すると、血液やリンパ液から他の部位に転移することもあります。
転移しやすい場所はリンパ節や肺内の他の部位、骨、脳、肝臓、副腎です。
肺がんの種類
肺がんには大きく小細胞がんと非小細胞肺がんに分かれます。
小細胞がんは、増殖が速く転移しやすいのが特徴です。
非小細胞肺がんには腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどの組織型が含まれます。
このうち肺がんの中で最も多いのは腺がんです。
肺がんの検査
胸部X線検査、胸部CT検査でがんの有無を調べます。
がんの疑いがある場合は、組織や細胞を採取し病理検査を行い診断が確定されます。
肺がんの治療
治療は、ご本人やご家族の希望を含め、年齢や生活環境を考慮して担当医と話し合って総合的に検討していきます。
主な治療法に外科治療、化学療法、免疫療法、緩和ケアなどがあります。